ひさびさに更新。
ハード SF という、うっかり発音を間違うと電車の中で話す事もままならない分野の大御所 (何だそれ?) ジェイムズ・P・ホーガン の SF 小説です。

ジェイムズ・P・ホーガン
この 「未来からのホットライン」 は、時間を超えて通信できるコンピュータのお話。
とはいっても、一日前のコンピュータ (このコンピュータは1台しかない) にメッセージを送る事しか出来ない。
タイムマシン物の SF の定石でもある、近い将来に起こる事象を、過去を変える事で回避する、ってのが大筋・・かな。

ジェイムズ・P・ホーガン らしい、というか如何にも 「ハード SF」 なのが、タイムマシンの存在によるパラドックスを見事に解説しきっている点だ。
そこが非常に読み応えがあり、かつ難解でもある。
こういった、キチンとした科学的知識をベースにしつつ、虚構の理論を如何にも本物らしく読ませてしまう、という点が 「ハード SF」 の魅力だろう。
物質を送るのは無理だけど、エネルギーは過去に伝えられる、という設定 (制約?) 自体が、パラドックスを回避する一つの解決なのだ。
細かい事は読んでもらえば分かるんだけど、「うまい」 と納得してしまう。

しかしながら、そういう細かい科学の裏付けが所々に見らるのは、悪い言い方をすれば 「理屈っぽい」 文章。
万人にはオススメできない。
世界設定の綿密さ・重厚さを受け止められる人、またソコソコの科学知識をかじっている人。
そういう人には是非呼んでもらいたい小説なのです。


なーんてオススメしてますが、同時期に同じく ジェイムズ・P・ホーガン の 「未来の二つの顔」 という小説も読んでまして、これは途中で断念しました。
この本は、人工知能に進化しつつあるコンピュータに、スペースコロニーの管理を実験的に行わせる、というお話。
実験なので、わざとコンピュータの邪魔をしてその反応を見るんだけど、徐々にコンピュータがエスカレートして、人間に危害を及ぼすまでに・・ってな感じだ。

で、お話の中では、とにかくコンピュータが優勢!
人間はどんどん追い込まれる。
ここがどうも納得行かなかったんだよね。

SF では有名なお話として、アシモフの 「ロボット工学三原則」 ってのがある。
映画 「アイ,ロボット」 がこの 「ロボット工学三原則」 のお話だ。
で、その第一条項に
「ロボットは人間に危害を加えてはならない」
ってのがある。
こいつをプログラミングしておけば済む話なのに、それが無いばっかりにどんどん人が死んでいく。

ジェイムズ・P・ホーガン が、この三原則を知らないはずは無い。 絶対に。
ストーリーの盛り上げるため、演出としてワザとやっているとしたら・・・と思うと、とても読んでいられなくなってしまうのだ。
「ハード SF」 という科学的根拠を重視する分野なので、「ご都合主義」 では萎えてしまう。
そういった所までキチっと納得できる説明があれば良かったかもしれない。


P.S.
Debian の etch が、正式リリースされましたね。
次の lenny を追っかけるのは、1ヶ月くらい待ってからにしよ。